老後資金は本当に3,000万円も必要なの?【確かめてみた】
こんにちは、ケン・イケハです。
「老後の生活のために今から貯蓄をしておくぞ!」とがんばられている方も多いと思いますが、いったいいくら老後資金があれば安心なのでしょう。
一般的には、必要な老後資金は「3,000万円」といわれています。
でも実際のところ、「定年までに3,000万円なんて無理!」という方が大半じゃないでしょうか?
そこで今回は、実際に「老後資金がいくら必要なのか」を色々なパターンごとにまとめてみました。
ぜひ、参考にしてもらえればと思います。
老後資金ってなに?
「老後資金」といっても、人によって解釈が違うかもしれません。
ここでは、「万が一のときに使うお金」ではなく、「老後に実際必要となるお金」を「老後資金」としています。
もっと単純に言うと、「年金受給だけでは足りないお金」が「必要な老後資金」となります。
老後資金3,000万円の根拠
では、老後に必要になる3,000万円の根拠をみていきましょう。
年金受給額と老後の生活費
標準的な年金受給世帯の年金額:月額約22万円(※1)
ゆとりある老後のための必要生活費:月額約35万円(※2)
(※1)出典:厚生労働書「平成29年版厚生労働省白書」
(※2)出典:生命保険文化センター「平成28年度生活保障に関する調査」
年金受給額と生活費の差額=必要な老後資金
(35万円-22万円)×240ヶ月=3,120万円
65歳から85歳まで(20年=240ヶ月)を年金受給のみで生活する場合、このように老後資金は約3,000万円必要になると試算できます。
ちなみに、「ゆとりある老後のための必要生活費」とは、「旅行・レジャー」「知人との付き合い」「趣味」など、自分の好きなことを存分に楽しむ場合に必要なお金です。
このような娯楽を削った「最低限必要な老後の生活費」は、月額約22万円と試算されていますが、医療や介護などにかかるお金を考えると、月額35万円を想定しておいた方が安心です。
パターン別老後資金シミュレーション
とはいえ、サラリーマンと自営業者では「もらえる年金額」は全然違います。
持ち家があるかどうかでも「月の生活費」はだいぶ変わります。
3,000万円はあくまでも平均的なお金なので、「自分の場合はいくら必要なのか」を計算しておかないといけません。
その参考になればと、色々なパターンで「必要な老後資金」を計算してみました。
作成には下記のサイトを利用させていただいています。
JAバンク(老後シミュレーション)
https://www.jabank.org/money/rougo.html
6つのパターンを作成していますが、いずれも「夫婦世帯・収入は夫のみ」「夫婦ともに83歳まで生きる」ことを条件にしています。
【パターン1】サラリーマン世帯(持ち家あり・ローン返済なし)
必要な老後資金 → 約2,208万円
【パターン2】サラリーマン世帯(持ち家ローンありor家賃支払いあり)
必要な老後資金 → 約4,416万円
【パターン3】自営業世帯(持ち家あり・ローン返済なし)
必要な老後資金 → 約5,552万円
【パターン4】自営業世帯(持ち家ローンありor家賃支払いあり)
必要な老後資金 → 約7,760万円
【パターン5】自営業世帯(持ち家あり・ローン返済なし)・・・生涯現役の場合
必要な老後資金 → 約1,880万円
【パターン6】自営業世帯(持ち家ローンありor家賃支払いあり)・・・生涯現役の場合
必要な老後資金 → 約4,088万円
以上、6つのパターンでした。
ちなみに、月の生活費を1万円減らすと、必要な老後資金は約280万円少なくてすみます。
生活費35万円が高いと感じられる方は、そちらで金額を調整してみてください。
こうみると自営業者は「退職金がない」「厚生年金がない」という二つの要因で、サラリーマン世帯よりも老後資金が大きく不足するおそれがあります。
自営業者の場合は、可能な限り「生涯現役」を目指し、できるだけ長く健康を維持し続けることが求められているといえます。
またこのデータから、「マイホームをもっている方が老後の生活が楽」というように見えますが、ここは注意が必要です。
マイホームを購入すると、頭金の出費などで貯蓄のペースが落ちますし、老人ホームなどにお世話になれば、別途住居費用が必要になるからです。
一概に、「マイホームを購入した方が老後が楽になる」とは言えません。
みんな3,000万円なんて貯められるの?
世代別の平均貯蓄額
では実際に、世の中の人たちは、老後にそなえてどのくらいの資産を貯蓄しているのでしょうか。
下記調査の「世代別の平均貯蓄額」のデータを参考にしましたので、見ていきましょう。
知るぽると-金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成30年)」
https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2018/18bunruif001.html
定年退職を控えた50代世帯では、金融資産状況はこのようになっています。
平均金融資産・・・1,481万円
金融資産1,000万円以下・・・約48%
金融資産なし・・・約17%
退職金をまだ受け取っていないとはいえ、金融資産1,000万円以下の世帯が半分を占めているのは驚きです。
「金融資産なし」の世帯が約17%もある一方で、「3,000万円以上」の世帯が約12%もあります。
金融資産の格差が如実にあらわれています。
退職金の平均額
では次に退職金の平均額を見てみましょう。
下記のサイトで「退職金の平均給付額」を調べることができます。
厚生労働省「平成30年就労条件総合調査結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/dl/gaiyou04.pdf
こちらのデータでは、「勤続20年以上かつ45歳以上の退職者」が対象になっています。
(大卒・大学院卒) 管理・事務・技術職・・・1,983万円
(高校卒) 管理・事務・技術職・・・1,618万円
(高校卒) 現業職・・・1,159万円
※現業職:生産作業者、販売従事者(販売店員、外交員等) など
上記のデータは、大企業が含まれていますので、平均金額がだいぶ押し上げられていると考えた方がよさそうです。
中小企業の退職金を対象とした、東京都労働局の調査結果がこちらです。
東京都の中小企業の場合(大卒)・・・1,384万円
東京都でこの数字ですから、中小企業にお勤めの方の平均的な退職金は、1,000万円くらいを想定しておいた方がよいでしょう。
まとめ
老後に必要なお金は世帯の状況によって違うものの、「3,000万円が必要」というのは、一つの目安にして間違いはなさそうです。
そういう状況でありながら、50代世帯の資産保有状況からは、退職金がなければ老後生活が非常に厳しくなる方が多いこともわかりました。
「年金がもらえるのか」ということも心配ですが、それと同じくらい「退職金はもらえるのか」ということも大きな不安要素です。
日本が破綻することはまず考えられませんが、勤めている会社が破綻することは十分に考えられます。
年金も退職金もあてにできない以上、自分の力で十分な貯蓄をしておかなければなりません。
今回は以上になりますので、具体的にお金をふやす方法については、また別の記事で紹介させていただきます。