【仮想通貨の可能性】「これからを稼ごう 仮想通貨と未来のお金の話」堀江貴文(著)、大石哲之(監修)
【本書から抜粋】
日本円の貯金は1円もないのに、仮想通貨や信用の貯金だけで、遊びを仕事にして円建ての生活とまったく変わらないレベルで暮らしている。そういう人が、これからもっと増えていくだろう。
こんにちは、ケン・イケハです。
最近、仮想通貨がたびたびニュースにとりあげられ、再び注目を集めています。
「暗号資産」への名称変更。
ビットコインの急激な高騰。
フェイスブックが仮想通貨「リブラ(Libra)」を使った金融サービス開始を発表。
などなど。
そして本日はこちらのニュースも。
バブルがはじけたように、一度は下火になったと思われた仮想通貨。
でも、仮想通貨はただの儲けを目的にした投機商品ではなく、社会のインフラに大きな影響を与えるのはようやくこれからなのだと、多くの方が考えられているのではないでしょうか。
仮想通貨の役割や社会への影響をあらためて知りたいと思い、堀江貴文さんの「これからを稼ごう 仮想通貨と未来のお金の話」を読みましたので、特におさえておきたい内容をご紹介させていただきます。
ちなみに本書は、「仮想通貨の取引でお金を稼ごう」というような趣旨の本ではありません。
これまでの国が発行する通貨を中心とする秩序が、仮想通貨や評価経済などの普及により、どのように変わっていく可能性があるかが語られた内容です。
仮想通貨を通じた今後の社会の変化について、今一度考える参考になればと思います。
おさえておきたいポイント
仮想通貨はテクノロジーのひとつ
・仮想通貨は、貯金や投資に代わる画期的な財テク術ではない。
・仮想通貨は、これからの未来を豊かな方向へデザインするテクノロジーのひとつである。
仮想通貨が流行るきっかけは「投機」でもいい
・日本で仮想通貨が流行ったのは、それが投機の対象として魅力的だったから。
・結果的に便利な世の中が形成されることが最も重要なので、仮想通貨が普及するきっかけは投機であってもいい。「流動性が上がる」点でも意味がある。
仮想通貨から見えるお金の本質
・仮想通貨という存在は、これまでお金を絶対視して、お金に縛られていた多くの人たちに、「お金というものの本質」について“気づきの芽”をもたらす可能性がある。
・お金というのは、人の共同幻想の産物である。それに価値があると信じればお金になってしまう。
お金と信用力
・お金は信用を数値化したものである。
・信用してくれる人の数が多いほど、その人は価値のある人ということになる。それはモノでも同じである。
・仮想通貨が持つ信用力とは、数学的なテクノロジーによる裏付けである。
堀江さんがもっている仮想通貨
・堀江さん自身は、NEMやイーサリアムなどでごく少額の仮想通貨をもっているだけ。
・自分でお金を払って購入したものではなく、もらったビットコインで手に入れたものである。
・仮想通貨の経済圏の中だけで考えているので、円換算の値動きなどは気にしていない。
世界には国を信じない人々が多くいる
・日本円が強力なので日本人はわかりにくいが、自国の通貨が信用できない状況にある人々が世界中にたくさんいる。
・大半の途上国では、その国の通貨より、ドルでチップを渡した方が確実に喜ばれるだろう。
・中国では土地の所有権が政府にあり、通貨も本質的に同じだとわかっている。人民元切り下げの際に、富裕層の資金が一気にビットコインに流れたことからもそれがわかる。
仮想通貨を持つことのメリット
・堀江さんは、仮想通貨を強く勧める気持ちはまったくない。
・しかし、日本円だけで暮らしているとなかなか実感できない、世界中の人々のお金に対する意識や感覚を学ぶ上では、ひとつのメリットがあるかもしれないと考える。
ライブドア時代の構想
・堀江さんはライブドア時代に、株式分割をくり返すことで、1株を10円や1円まで価値を下げたらどうなるか考えていた。
・ライブドアが小売業や農業など多角的に展開すれば、現金の代わりにライブドア株でものが買えるエコシステムが完成するかもしれない。そのようなバーチャル国家を作ってみたいという考えがあった。
仮想通貨は国家が干渉できない
・通貨発行権は国民国家の主権に密接に関わっているので、国家は本能的にそれを潰しにかかる。
・ビットコインは中央管理者がおらず、政府が干渉できない仕組みを作ってしまった。
仮想通貨が衰退するとしたら
・仮想通貨が衰退する理由は、「地球が滅ぶ」くらいしか考えられない。
・仮想通貨が不安で、ビットコインが嫌であれば、ドルやその他のアルトコインなどに換えればいい。
・普通のお金でも盗まれる可能性があり、銀行がつぶれたり、国がデフォルトする可能性がある。未来永劫続く正解なんてない。
仮想通貨の注意点
・秘密鍵を解除するパスワードを忘れて、仮想通貨を取り出せなくなることが多い。
・堀江さんはパスワードを失念して、数千万円(2018年初旬の時点)の価値があるイーサリアムを取り出せなくなっている。
仮想通貨の世界は人間ではなくプロトコル(機械)が中心
・既存の会社組織は、経営者たちが方針を決め、それに従業員が従う。中心に人間があり、周囲にも人間があるという考え方。
・仮想通貨の場合は、組織の中心に変更不可能な契約やプロトコルがあり、それに人間が従う。中心にプロトコル(機械)があり、周囲に人間があるという考え方。
・中心にブロックチェーンがあり、そのプログラムに従ってメンテナンスを続けることで、人は報酬を得ることができる。
ICO
・ICOはまだ法整備があまり進んでいないので、詐欺コインが多い。
・2018年4月に発表された統計によれば、ICOの81%が詐欺だとされる。プロジェクトが失敗したりもするので、実際に上場されるのは全体の8%しかない。
・上場されたとしても、ICO時の価格よりも下がることが多い。
・一方で企業側のメリットとして、株と違ってICOでは投資をした人は議決権を得られないので、買収をされることがない。
ポイントサービス
・銀行が発行する仮想通貨よりも、各社が導入している共通ポイントサービスの方が流行る可能性があると考える。
・楽天ポイントやTポイントがあるが、利用者が多く完全なトークンとなっている。
・楽天から、楽天ポイントとブロックチェーンを組み合わせた「楽天コイン」の構想が発表されている。
シェアビジネスとトークン
・シェアリングエコノミーとは、個人が保有する遊休資産(スキルなども含む)の貸出を仲介するサービスである。
・シェアリングエコノミーをさらに発展させたのが、トークンエコノミー。
サービスを提供したい側が、貨幣の代わりにトークンを発行し、それをユーザーが購入することでトークンに価値が生まれる。
・国家が担当してきた経済運営の縮小版を、トークンを用いて手軽にできるのが、トークンエコノミーの大まかな構造である。
クラウドファンディング
・クラウドファンディングには寄付型、投資型、購入型の三種類があり、日本ではリターン報酬を保証した購入型が最も活用されている。「Readyfor」「CAMPFIRE」など。
・普通なら大金を集められそうにない、でも志と実現ビジョンは明確に持っている者が、クラウドファンディングを使うことで、夢を叶え、仲間を増やしたりしている。
・クラウドファンディングは資金集めの代用案程度にとどまるものではなく、スマート物々交換で経済活動がまわるような、そういった経済循環を多様にするサービスだと考える。
VALU
・VALUは個人の信用・評価を、株式のように「価値取引」できるサービスである。
・価値は市場が決めるので、よくわからない力学や恣意が働く、出世査定やオーディションとはまったく違うもの。
・VALUで調達した資金で事業が成功しても、出資者に利益を配当することは禁じられている。純粋に応援する気持ちや、信用・評価だけで出資ができる仕組みになっている。
・純粋な気持ちで応援してくれる人を増やせば、「好きなことだけで生きていく」人生は、誰にだって可能。VALUはそのサポートに役立つ最適なサービス。
働く必要がなくなりつつある
・現代人は、働いていないと金は得られないという常識にとらわれている。
・仕事や機会を奪うのは、テクノロジーではなく、人々が勝手に作り出した幻想。
・お金はすでに大量にあり余っていて、人が働く必要は急速に消えつつある。
お金より重要になる価値とは
・テクノロジーのおかげで、人が汗水垂らして働かないといけない場面はどんどん減っている。
・お金の出番が少なくなり、お金の価値は下がっている。
・そんな社会で豊かになれる人は、お金との交換ができない独自の価値基準をもっている人である。
・ノウハウやプレミアムなスキルなど、他の人が簡単に入手できないものを装備すること。それがお金では代替できない価値を生み出すのである。
人間にしかできないこと
・ロボットにはできず、人間だけができること、それは遊びである。21世紀は、仕事と遊びの境界が溶けてきている時代。
・いやいや仕事している人は極端な話、社会の発展を邪魔している。不満が出る安い仕事をする人がまだたくさんいるから、全体的な機械化が進まない。
評価経済社会で生き残るために
・評価経済社会が進むと、お金に換算できない評価を多く集めた人が残っていく。
・信用が通貨に代わるわけではないが、信用の概念をみんなで共有できれば、通貨だけに頼る必要はなくなってくる。
・今のところ、仮想通貨やトークンエコノミーが、信用の共有の実践に便利だということである。
・「最強伝説 黒沢」の黒沢のように、冴えない非モテの人間でも、がむしゃらに行動しまくれば評価と信用は集まってくる。
・評価経済社会だろうと、いまの通貨主義社会だろうと、動かない者が負けるという真理は変わらない。
仮想通貨の可能性
・仮想通貨は改善改良すべきところはいくつもあり、万能ではないが、国家発行の通貨に頼らず、世界中の人たちが望む幸せを得るのに最適なツールになる。
・仮想通貨の完璧な使い方はまだ誰も見つけていないので、いまはみんなの知恵と実践で探していこうという段階である。
まとめ
堀江さんは、仮想通貨をあくまでも、社会を便利にするためのツールとして捉えられていることがよくわかりました。
国や既存の金融機関などの秩序を超えて、評価経済のもと、世界の個人が自由につながり、新しい形の社会・経済圏を作りだしていく可能性が、仮想通貨を支えるテクノロジーにはあります。
堀江さんはその可能性に胸をわくわくさせていること。自分以外の人たちも、目先のお金ではなく、そういった“ノリ”を大切にしてほしいと願っていることが、本書からとても伝わってきました。
「仮想通貨でどれだけ儲かるか」といった視野の狭い見方ではなく、「新しい社会を作り出す試みにふれていく」という広い見方で、仮想通貨と向き合っていこうと本書を読んで思いました。
仮想通貨に興味をお持ちの方の参考になればと思います。
ということで、今回の記事は以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。